らきがき帳。2号

推しに頭やられた腐女子の語り。

あの師匠にしてこの弟子という話

 

 アレン・ウォーカーとかいうクロス・マリアンの弟子、あの師匠からじゃないと出来上がらないんだよねという話をします。「27巻のコムイの談話室という茶番の中でアレンさんは何度もティエドール元帥を羨ましがるけど、誠に残念ながらクロス元帥の弟子じゃなかったら今の君になってないよね」という旨を、オタクがエアろくろを回しながらあぁだこうだするだけの怪文書です。多分、読んで得られるものは特にない。

 

 

 

あの師匠にしてこの弟子

 師弟似たもの同士過ぎてヤベェー。ぱっと見何でこの師匠から博愛主義的な弟子が…ってカンジだけど、よくよく見ると同じ行動取ってることあるんだわ…。

・助けられなかった対象への一言目が謝罪。

・体が動かない時にイノセンスで無理やり動かす。

・他者の感情(記憶)に呑まれた相手へのリアクション。

 直近で氷館が「師弟同じムーブしとるやんけ…」と頭抱えたのは上記3点。もしかしたらこの先も増えるかもしれないし、増えないかもしれない。まぁオタクはこじつけながら生きてる生命体なので…。

 

助けられなかった対象への一言目が謝罪

 自分の対応が間に合わず、犠牲が出た時の一言目が謝罪なんですよねこの師弟。まぁアレンさんの場合は1巻第1夜の野良猫が相手なんですが*1。一方の師匠は27巻233夜、14番目関係者の神父に対して「すまん…来るのが遅すぎた」と発言。そもそもエクソシストの目の前で犠牲が出ると描写が少ないというのもあるけど、この2人は助けられた人より助けられなかった人に目が向くんだなぁって感じ。ちなみに、マテールで瀕死の探索部隊に対しての神田の一言目は「おい あの結界装置の解除コードは何だ」です*2。でも師匠、任務中はわりと神田寄りの挙動かましてそうだよネ。

 

動かない体をイノセンスで無理やり動かす

 本部でのレベル4戦時に、アレンが動かせない体をイノセンスで無理に動かしているとコムイさんが気づくシーンがある*3。レベル4の鳴き声によるデバフをマリアに自分の体を操らせて即座に対処する師匠*4、やってることが弟子と全く同じなんじゃよ。結構最近まで「対応が速い上に合理的でヤベェ」とガンスルーしていたので、気づいた瞬間かなり頭を抱えた。動けなくなった時に使える手段(クラウン・クラウン / グレイヴ・オブ・マリア)さえあれば、即決で体を操ってでも動かすんですよこの師弟。手段があるからって実行してるあたり、自分の体をなんだと思ってるんですかねホント。弟子はマリアに操られたことがあるので*5、おおむね師匠の影響かもしれない(雑)。でも正直「身に纏うイノセンスだから操ったらイケる」の発想な時点で、シンプルに独自でやらかしてる似たもの師弟だと思います。

 

他者の感情(記憶)に呑まれた相手へのリアクション

 師匠はロードに「おまえもこの世界に生まれた人間だろう ノアの憎しみに取り憑かれて利用されているだけだ」って説得を試みるじゃん*6? 弟子はアルマ=カルマの怨念の呑まれて暴走するトクサに、「キミはアルマじゃない これはただのアルマ細胞だ キミの体なんだよ」って呼びかけるんだよな*7。状況的に対立状態の相手に呼びかけて引き戻そうとするそれ何なん。師匠は多分ロードが相手だからここまで踏み込んでる可能性が高いので、博愛ポイント(?)は弟子の方が高いと思う。

 イノセンスで体を操る以外はアレンさんの行動の方が先に描かれているので、どこまで意図的に重ねられているかは作者のみぞ知る。無自覚無意識で同じ行動取ってる師弟からしか得られない栄養素って、あると思います。

 

物分かりのよさ

 どうにも師匠ってアレンの劣化版というか下位互換っぽい部分があるなと思ってたけど、違うわコレ。師匠の価値観を煮詰めて純度を上げて、うっかり実行力まで得て完成したのが弟子です多分。235夜でロードを説得にかかって失敗した師匠と、メモリーだけを破壊する力(退魔ノ剣)を得てティキを相手に実力行使に出た弟子*8。師匠が劣ってるとかいう話では一切なく、弟子がめちゃくちゃ物分かり悪くて後先考えずに突っ走るタイプだったのでこうなった感。

 師匠の性格の奥底には、ちょっと物分かりのいいアレンみたいな精神性が埋まっているような気がしなくもない。弟子と違うのは、助けられないと頭のどこかで理解した上でなお手を伸ばそうとするところ。先の展開が読めて諦めが早いのか、経験則なのか、昔は手当たり次第だったけど自分の手が届く範囲を悟ったのか…。

 アレンはスーマンやアルマに対してのアクションが特にそうだけど、後先考えずとにかく助けたい一心で手を伸ばすところがある。なんか師匠、一心不乱に人を助けようとするにはいろいろ抱えすぎてんだろうね。そいう意味では弟子の方が身軽で、捨て身の行動が取れるわけだ。いや捨て身は全然よくないが? そんなだから師匠に「偽善者」って言われるんだが?? 言うて師匠も大概偽善者だと思うが??

 イノセンスダークマターを破壊するための兵器なので、当然敵であるノアにもエクソシストはその武力を行使する。ノアが人間であることに着目して「ノアメモリーだけ破壊したい」と都合のいいことを言うエクソシストは、アレンさん以外にいないというか。多分師匠はいろいろ知ってることが多いので、そんなわがまま思いつきもしなかったんだろうなぁ的な。実はイノセンスを信じてなかったって可能性もなくはないけど、シンクロ率100%超えてんだよなぁこの人。
 弟子がシンプルに怖い。適合者の願う都合のいいわがままに応えたアレンのイノセンスも怖い。アポクリフォスが「お前ほどでこぼこで深くイノセンスと結びついた者はいない」と評価したのはこういうことなんですかね*9、いやホントそれな知らんけど。

 

弟子専用師匠

 生意気で捻くれた口の悪い孤児は、大好きな養父をAKUMAにしたショックで紳士というマナの仮面をかぶって生きるようになった。一度全部真っ白にしてしまった子どもは、丁寧な口調と穏やかな物腰を手に入れた。あれ、博愛精神どこから??多分師匠の価値観から来てるんだよなぁ~…。

 27巻談話室でちょっと揶揄られてたけど、ティエドール元帥がアレンの師匠になっていたらきっとアレンにこの世の美しいものをたくさん見せてくれたと思う。ただ、美しいものを尊ぶティエドールさんと美しくないアクマの魂は折り合いがすこぶる悪いというか…彼では左目の呪いに関してフォローができない。

 クロス・マリアンというエクソシストは、アクマ憎し伯爵憎しな構成員の多い黒の教団では特異な価値観の持ち主だと思う。アレンは入団初期から何度か「そんなことでは孤立する」と指摘されていたが*10、クロスは数年ぶりに教団に戻った時点で既に浮いていた*11それまで教団でどう振舞っていたのか分からないが、彼はアクマの魂を「もとは同じように生きてた人間で怖いものではない」と説明できて*12、その上でアクマを自爆機能付きで改造する価値観とバランス感覚を持ち合わせている。アレンの呪われた左目で見えるようになったアクマの魂について、「(アレンに)「助けて」って叫んでるだけ」と諭すことができるのは恐らく黒の教団でクロス・マリアンだけだ。

 というかイノセンスが覚醒した直後のアレンさんは、大好きな養父に呪われて悪性兵器の内蔵物(魂)が見えるようになった取り扱い要注意案件。子どものバックボーンをある程度把握していて、アクマの製造過程を知っていて初めて適切に対処できるやつ。誠に残念ながら君の置かれた状況にちゃんと対応できるの、君の師匠しかいないんだよネ。うわ…アレン専用師匠やないか…。

 師匠がクロス・マリアンじゃないと、アレン・ウォーカーというエクソシストは「全てのAKUMAに魂の救済を」と戦場で愛を掲げて「神ノ道化〈クラウン・クラウン〉」をまとってないんですよ。はい、あの師匠からこの弟子できあがり。まさに「僕はクロス・マリアンの弟子だよ…?」ですよ*13。まぁこのセリフは多分、「お前(アポクリフォス)になんか従うワケが無いだろ」的な意図で発されたものだと思うけど。

 

 うーわ師弟ヤベェ…。

 

おまけ:222夜の師弟の話をうだうだするターン

 25巻第222夜の師弟の話は何度してもいいって、どっかの誰かが言ってたので何度でもリプライズします(誰も言ってない)。

 

 第222夜は「限りなく本音に近い言葉を師弟が互いに向けて投げた回」だと思う。本音と言わずわざわざ曖昧な表現をくっつけたのは、師匠が本音じゃなさそうだから。弟子は結構本音を話してる感じがするけど、師匠はまだ隠してる本音があるよねっていう。「宿主を壊したいとまでは望んじゃいない」も「せめて苦しみの少ない最後であってほしい」はもちろん本心。と言うよりクロス・マリアンが5年かけて落とし込んだ、14番目関係者としての使命とアレン・ウォーカーという弟子への情との妥協点。自分の息子みたいに思ってる弟子だから*14、できることなら足掻いてほしいとかが本心になるんじゃないかと思うんだよなー 。

 ロードに「亡霊<ノア>に操られるな、戦え」「己を救う術を探すんだ」と説得を試みた点で明らかだと思うが、クロスは人間が自分の意思に従って生きることを理想と考えている節がある。そうでなきゃ教団であんな奔放に振舞ってないと言えばそうなんだけどネ! 14番目関係者として、宿主の人格消失がネア復活の必須要件であることは承知で30年動いてきた。自我が少しずつ消えていくのは誰にとっても怖くて受け入れがたくて苦しいことだが、自分の意思でネアに協力してきた以上宿主に「受け入れるな。タダで消えるな、あがけ」とは言えない。

 結果出てくる言葉が、「怖いなら一緒にいてやる」と「壊したいとまでは望んじゃいない」と「せめて苦しみの少ない最期であってほしい」。加えてアレンが宿主の役割を十分担ったことを感謝している、としか受け取りようがない言い回しをねじ込んで読み取り難易度をガン上げする始末。本心明かす気/Zero。ツンデレにも限度があると思うんよ、5周回ってデレなんよ。だから多分、ここでは消えない、最期まで僕として進み続けるというアレンの表明はわりと嬉しかったんじゃないかと思うんだよなぁ。たとえそれが、師匠の側で妥協点を探し続けて辿り着いた「苦しみの少ない最期であってほしい」を完全に無視するものだったとしても。

 

うー-わ師弟ヤベェ。ちなみにおまけ込みで4700字程度の怪文書です、解散。

*1:モア巡査の家から隣の教会まで吹っ飛ばされた際、アクマの弾丸で犠牲になった猫に「くそ…助けられなくてごめんよ…」と発言。

*2:2巻第10夜 任務にあたるエクソシストの対応としては大正解。

*3:16巻第152夜 本当なら動けない傷を負いながら、イノセンスで体を操って戦っていた。

*4:15巻第147夜

*5:14巻第130夜 方舟から去る伯爵を追おうとしたが、マリアの能力で止められた。

*6:27巻第235夜

*7:22巻第200夜

*8:ただし未遂。13巻第123夜

*9:22巻第203夜

*10:3巻第25夜のロードや19巻第185夜のマリなど

*11:14巻第138夜 アレンがノアの手先かもしれないという噂話が広がる中、「クロス元帥はちょっとポイけど」と言われている。外見が変わらず、すぐ連絡を断つからかもしれないが。

*12:26巻コムイの談話室増量版

*13:22巻第204夜

*14:『キャラグレ!』149ページ