らきがき帳。2号

推しに頭やられた腐女子の語り。

Dグレ未来説の話だけど。

 Twitterでhalnyさん(@halny64)が「Dグレ未来説」を話されているのを見て、日曜深夜(月曜早朝)に単行本ひっくり返しまくって20ツイートするアホをやらかしたので記事でまとめようと心に決めた。月曜から何やってんだ。

 Dグレ未来説とは?:ザックリいうと「仮想19世紀末って、現実世界のさらに未来の時代から7000年後の世界なのでは?」って説。どうやら第234夜初出の時から話題に上る説のようですが*1、halnyさんは原画展FAINALの際に晴風光一さん(@kouichiharukaze)からお聞きしたそうで本記事作成の許可はお二人からいただきました。

 

Dグレ未来説

 

 正確には「Dグレ舞台未来説」と言ったところ。現実世界の未来の時代から地続きの世界が仮想19世紀末と考える方もいれば、並行世界もしくは箱庭のような仮想世界と考える方もいる様子。氷館は後者派なのでその前提で展開する。作中世界の西暦には「仮想」が付くことから、以後「仮想世紀」と仮称したい。要するに、こう(図1参照)。

【図1】Dグレ未来説図解

 勢いあまってパワポで図まで作った。この作業中に誕生日を迎え、めでたくクロス・マリアンに人生の2分の1を持っていかれてしまった。節目の年にふさわしいですね、返せよ中2冬以降の私の人生。いややっぱお前が持ってろ。

 

 

高層ビルの世界と仮想世紀

 高層ビルの建つ滅んだ世界と作中世界(仮想世紀)は、異なる世界ではないだろうか。そもそもDグレの舞台となっている世界は西暦に「仮想」が付くうえ、10巻第88夜で鏡面のような黒い大地が露出し*2、方舟出現時の空がパズルのピース状に剝がれ落ちており*3、いっそ仮想空間に造られた箱庭のような世界と考えても矛盾は無いように思う。裏付けとするには微妙だが、27巻第234夜のクロスとロードの「ここはおまえらがいた世界じゃない 同じ運命を辿るとは限らん」と「ボクらは帰る場所を永遠に失った その事実は消えない!」って会話もあるしネ。

 さらに27巻第235夜の「その苦しみを知るおまえ達が今度はこの世界を滅ぼすのか?」というクロスの投げかけに、ノアメモリーは「ソの為に造ッタ世界ダ」と回答している。この発言にちょっと真実味を与えるのが、ノアの方舟が「大洪水を逃れ第2人類の祖先を造り出した場所」と説明されていることだ*4。また空の向こうから出現したことや詳しい者の発言から、方舟は次元の狭間に設置されているとみられる*5。世界造っ…?いや、知らんけど[関西 知らんけど]検索

 

作中時系列

 未来説を目にした瞬間、時系列がめちゃくちゃ整理できるのでは?!と史学科の血が大暴走したので月曜の睡眠時間は犠牲になった。レッツ辻褄合わせ、後半明らかにやる気を失いつつ完成したのが「【表1】Dグレ世界観年表」である。

【表1】Dグレ世界観年表

 ついでに【図1】と【表1】を適当に横軸年表にして、いろいろ追加したのが「【図2】Dグレ未来説キャラ年表」になる。本当に何やってんだ、暇なのか?

【図2】Dグレ未来説キャラ年表
高層ビルの世界

 時期も詳細も不明だが「千年伯爵」は、アダムから「暗黒の三日間」の発動の役目を与えられ受諾している*6。なお「西暦2600年?」としたが、後述の7400年と足したらちょうど一万年だな~という雑な理由で書いたので気にしないでほしい。1000年が10個でそれっぽいし、西暦2600年の世界ならオーバーテクノロジーな科学技術だよね的な。シンプルに雑。

7000年前

 「ハート」との戦いで千年伯爵が倒され*7、石箱の作り手が千年伯爵に勝利*8。ノアメモリーのオリジナルの世界が「柱」の出現によって滅びた*9。石箱はこの出来事を「暗黒の三日間」と記し、中央庁(ヴァチカン)及び黒の教団は「旧約聖書に記された「ノアの大洪水」」と解釈している*10

 一方「暗黒の三日間」を発動する役目を持つ千年伯爵と、それを助けるノアの一族は石箱の記した「暗黒の三日間」を「大洪水」としか呼んでいない。つまり、「暗黒の三日間(by石箱)」=「ノアの大洪水」≠「暗黒の三日間(千年伯爵の役目)」の可能性が高い。先述の通り、方舟で難を逃れたノアの一族が「滅ぼすための世界(仮想世紀)」を造ったのはおそらくこの頃。

仮想世紀(紀元前)

 「7000年」「7000年」って言うけど、どんな計算したらそうなるんだよ。というわけでWikipediaを召喚、記事を一部引用しターンエンド。

天地創造 - Wikipedia

正教会では西暦で言うところの紀元前5508年のことだとしており、これを元年とした「世界創造紀元」を用いていた。

1654年に、英国国教会アイルランド大主教ジェームズ・アッシャーとケンブリッジ大学副総長ジョン・ライトフット(英語版)が聖書の記述から逆算し、天地創造は西暦の紀元前4004年10月18日〜24日にかけて起こり、アダム創造は紀元前4004年10月23日午前9時と算出し、長らくキリスト教圏ではこの年代が信じられてきた(旧約聖書モーセ五書に登場する族長全員の寿命を加算して算出したもの)。 その他にも天地創造の年代には諸説ある。

 

 天地創造からキリスト生誕まで、つまり世界ができてから紀元元年を迎えて西暦に至るまで。諸説あるが聖書の内容を事実と考えていた時代の人々は、天地創造をだいたい3900年~5500年前の出来事と推定していたらしい*11。しかしキリスト教圏で信じられていた紀元前4000年では、仮想19世紀末までの1900年を足しても1000年近く足りない。このため「【図2】Dグレ未来説キャラ年表」では、紀元前5500年頃を元年とする「世界創造紀元」を参考にした*12

世界創造紀元 - Wikipedia

世界創造紀元元年は西暦に直すと紀元前5509年~5508年にあたり、旧約聖書の『創世記』にある天地創造についての年を逆算して設定された[1]。

 

 ノアの一族による天地創造から5500年+1900年=7400年。400年オーバーだが、紀元前4000年で計算するよりは年数が近い。インターネットの大海からそれっぽいものを引っ張っただけなので、さらに掘り下げたい方は各自文献に当たってください。

100年前

 千年伯爵が再来し、アクマの製造を開始。石箱が発見され、予言とイノセンスの使用方法が仮想世紀の人間(第二人類)へ伝わる。中央庁(ヴァチカン)は石箱のメッセージに従い、イノセンスを復活させ黒の教団を設立*13。なお『灰色ノ記録』では、千年伯爵は「第二人類が繫栄し文明が生まれた頃に再来」したとなっている*14。時期が恐ろしくざっくりなので、今回作成した図や表では100年前の出来事と一緒にした。別に修正がめんどくさかったわけではないよ?

52年前(35年+17年前)

 黒髪長髪で褐色肌の青年「千年伯爵」、一面に麦畑が広がる夕焼けの中カテリーナに出会う。その後2人の赤ん坊に分裂し、存在消失。カテリーナは二人にマナ・ネアと名前を付け、双子の兄弟の母親として17年彼らを育てた*15。25巻第220夜のマナ曰く「千年伯爵が千年伯爵でなくなり オレたち「ふたり」になった」らしい。

 ロード・キャメロットとクロス・マリアンは、この17年のどこかで双子に接触していることになる。両者ともにキャンベル邸で会っているようだが*16、クロスが当時どういう立場で何歳だったのか、ロードがいつノアに覚醒し何歳の時に二人と出会ったのかは不明。

35年前

 ネアが「千年伯爵」を殺そうとしたため、ほかのノアと敵対。マナと二人でノアとの殺し合いに身を投じる*17。最終的にネアがマナ(千年伯爵)に魂を喰われ*18、彼らの逃亡生活は終結した。ネアは消滅する前に長髪の「アレン」に自身のメモリーを託しており*19、千年伯爵の「役」に戻ったマナは伯爵の精神世界から追い出された。この際、「千年伯爵」は自身の記憶と顔を潰している*20。また騒動との前後関係は不明だが、双子の母カテリーナが千年伯爵の皮に殺された描写がある*21。ノアの一族は第9使徒ロード以外がネアに殺害され、次の転生に大きなタイムラグが発生することとなった*22。クロス・マリアンが真理に触れ、人の境を超えたのもこの時期と考えられる*23

8~9年前

 「アレン過去編」に該当。現在も設定変更が無いかは不明だが、『灰色ノ聖櫃』を参考に8~9年前とした*24。記憶を失いサーカスのピエロとしてネアを探すマナが、当時「赤腕」と呼ばれていたアレンと接触。そこまでややこしいことは起きてないので、詳細は割愛。この時点のマナは「キャンベル」「キャンベルの旦那」と呼ばれているため*25、いつからマナ・ウォーカーになったのかちょっと謎。

5~6年前

 アレン視点では、養父マナ・ウォーカーが死亡。千年伯爵が出現しマナをAKUMAにするも、アレンの左腕のイノセンスが発動したため未遂に終わる。アレンはクロスに拾われ、のちにエクソシストを志す*26。第244夜のクロスの発言から悲しみ、絶望で千年伯爵の「皮」のなかに戻ったとみられる*27。正直ここよく分からん。

現在

 アレンを宿主にネアが現世に復活。7000年間表立って行動していなかったアポクリフォスが出現。『D.Gray-man』の25~26巻あたりまで読め(アバウト)。

 

 うん、まぁ。筋は通るね!!!!!(って言いたいがために一週間がかりでこの作業やった。)滅んだ世界と縁が深そうなブックマン一族のルーツや、ノアが脱出した先に何故ハートとイノセンスがあるのか等の疑問は、情報無くてさっぱり分からんので今回はスルー。この説がどこまで通用するかは謎ですが、大筋が全部繋がって個人的には面白かったのでOKです。それはさておきキャラ年表のロードと師匠の横軸書いてる時が一番心にきた。ヤダ何この2人つら…。

 

余談:ハートと柱、千年伯爵とノアの一族

 ついでなので「ハート」めっちゃ怪しいねって話をします。7000年前の項目で「暗黒の三日間(by石箱)」=「ノアの大洪水」≠「暗黒の三日間(千年伯爵の役目)」では?と、書いた件をうだうだするだけ。題して、7000年前に出現した「柱」って「ハート」なんじゃね?

  1. 第187夜シェリル「お前たちを終わらせるものの名を教えてあげようか それはお前たちの…」→おそらく黒の教団側の何かである。
  2. 第220夜マナ 「ハートを滅ぼさなければ…それしか道はない でなければぼくは…っ」→与えられた役目(「暗黒の三日間」の発動)を達成できない。しかし石箱によると「暗黒の三日間」は発生している。
  3. 第235夜ロード「「柱」 いつか千年伯爵-マナ-が成るといわれるもの」→いつか成るということは、成ったところを未だ見ていないということ。しかしノアメモリーの世界は滅ぼされている。

 第220夜の千年伯爵はこの後、「我が輩は「千年伯爵」以外の何者でもナイ 忘れタのデスカ おまえにはアダムやノア…この世界に対して償わねばならぬ大罪があるこトヲ!!」と叫ぶ。彼に役目を課したアダムはさておき何でノア?という話だが、コレもしかしてあれかなー「ハート」に敗北して世界を滅ぼしたことかなー。失敗して世界滅ぼしたら確かに大罪かもですね~…。

 7000年前に千年伯爵は「暗黒の三日間」を発動できておらず、「柱」の出現により発生した「大洪水」は伯爵以外の手で引き起こされたと考えるのが順当だろう。そう思ってるからだとしても「ハート」が超怪しい。何しろ「ハート」(石箱の作り手)は戦争勝者*28、大洪水を千年伯爵のせいにすることは多分可能。というか25巻第219夜ロードの「「せんねんはくしゃく」がいなければ ぼくら わ 「はーと」にほろぼされてしまう」が、イノセンスの上位物質の「「ハート」がノアを滅ぼす」とも、「「ハート」が世界(=ぼくら)を滅ぼす」とも読めることにちょっと驚いた。

 ついでにノアへの覚醒が始まったアレンの夢で、「憐れな子 14番目に憑かれたその身に罪がないわけないだろう」「数多の汚れた魂を救済したのはおまえではなく神の左手」「おまえもまた救済されるべきひとつなのだよ」と語りかける第三者が登場する*29。高層ビルのがれきが広がる世界と空に出現した「柱」、語りかけられたアレンは「柱」の方向に視線を向けている。イノセンスを神の結晶と扱うのは教団側、要はハート側なんだよなぁ~。黒の教団、信じたものが悪かったドンマイフラグ。

 

 滅んだ高層ビルの世界で「柱」になったものを「ハート」と仮定すると、第234夜でクロスが言った復讐云々の話が少しわかりやすくなる*30。そもそも伯爵が「ハート」に倒された後、生き残ったノアの12使徒が方舟を使って第二人類の祖先となったという話をするのは千年伯爵自身*31。倒れた伯爵の状態がどういうものか不明だが、何で自分が倒された後のこと知ってるの?って話だ。

 第234夜のクロスは「家族のフリをして何千年もあいつを利用してきた」とも発言し、ノアの一族が「柱」への復讐のために千年伯爵ひいてはマナを利用したことを責める。そもそもノアの一族は千年伯爵+転生を繰り返す12人の使徒という、伯爵だけ明らかにスペックが異なるメンバー構成だ。7000年前世界を滅ぼされたタイミングでノアの一族が千年伯爵に近づき、ハートへの復讐のために利用し現在のスタンスを作った可能性はなくもない。要は7000年以前からノアが千年伯爵側だったのかが微妙、伯爵とノアの一族の関係よく分からん。

 黒の教団サイドで歴史を語ったのは石箱の作り手(戦争勝者)、ノアの一族側で歴史を語るのは利用されている張本人の千年伯爵。どっちもいわゆる”信頼できない語り手”。だからブックマンが必要なんですね、ナルホドナー。

 

 というわけで、約6700字のインターネット怪文書でした。「推しが何に首突っ込んで自分の心殺してんのか気になるじゃん?」と、図と表作り始めるタイプのオタクだった。ここまでやったけどガチの参考文献引っ張ってないから考察だと思ってない節がある、我遊んでただけ。「書いてる人そこまで考えてないと思うよ(月刊少女野崎君)」もワンチャンあるので、話半分に留めていただければ幸い。お疲れさまでした解散!

*1:ジャンプSQ.RISE 2019 AUTUMN』掲載なので2019年10月頃。

*2:千年伯爵の攻撃で江戸の町が吹っ飛ばされたが、残った地面には土砂が全く見られず月や人の影を鏡のように映していた。

*3:10巻第90夜

*4:9巻第78夜。19巻第187夜でも”大洪水で滅びた世界で第二のアダムとなり現在の人類の祖先となった”と語られている。

*5:10巻第90夜 千年伯爵「この舟はまもなく次元の狭間に吸収されて消滅しまス♡」、14巻第133夜 クロス「まぁ別に次元の狭間に吸収されただけで死んでたわけじゃねェしな」

*6:25巻第220夜

*7:19巻第187夜

*8:1巻第7夜

*9:27巻第234夜

*10:1巻第7夜 結果、後述の天地創造と教団の解釈上の天地創造は時期ズレが生じる。

*11:天地創造 - Wikipedia 2022/09/18アクセス。

*12:世界創造紀元 - Wikipedia 2022/09/18アクセス。

*13:1巻第4夜

*14:『灰色ノ記録』142頁 黒の教団設立によって「ハート」の目覚めを確信した、と追加された。約100年前に人類が石箱を発見した設定には変更が無い模様。

*15:25巻第219夜

*16:ロード:24巻第218夜 マナをネアから庇うように抱き寄せる姿が登場する。

クロス:27巻第234夜 17歳よりも幼いであろう双子の回想シーンがある。

*17:17巻第167夜、『灰色ノ記録』143頁参照

*18:第220夜、第221夜

*19:24巻第215夜でアレンの目元より下が描かれた。第221夜の「友だった男」と同一人物の可能性が高い。

*20:第220夜、『灰色ノ記録』150頁参照。

*21:218

*22:19巻第187夜

*23:26巻第228夜

*24:『灰色ノ聖櫃』56頁では、アレンがマナと出会ったのが約7歳頃としている。

*25:第234夜、第235夜

*26:1巻第3夜

*27:千年伯爵の皮に対し、「マナの悲しみに呼ばれてきたんだろうがそいつはまだ絶望したワケじゃない まだ貴様のなかには戻らん」と発言。28巻収録予定?

*28:『灰色ノ記録』142頁 「ハート」(石箱の作り手)と記載。そこ一緒なんだぁ…?

*29:19巻第184夜

*30:ロードに対して「おまえ達はこの世界に存在してないものに復讐している」と発言。

*31:第78夜、第187夜