らきがき帳。2号

推しに頭やられた腐女子の語り。

千年伯爵が二つに分かれたことを知ってるのは誰か問題

 Twitterでクロス師匠の有識者宛の質問をいただいたので回答したのですが、普通に長めの怪文を錬成したのでまとめることにしました。

 誰が13ツイートもツリーにしろって言ったよ。単純計算で140字×13回は余裕で怪文なんよ。というか師匠の有識者ってめっちゃおもろいな。私って有識者だったんですか知らんかった。

 

 ご質問いただいたのは、「35年前、千年伯爵がマナとネアの二つに分かれていたことを知っているのは誰か」という内容。そういや誰が知ってて誰が知らないか、あまり話題になってないよねー。

 

二つに分かれた千年伯爵

 アレンの体を使ったネアによって「マナとネアは元はひとつの千年伯爵だった」と明かされたのが219夜ラスト。この後伯爵暴走・リンク介入→アレンが体を取り戻す→教団包囲網から逃走→アレン過去編と展開したため、「元はひとつの千年伯爵」について言及したキャラがほとんどいないのが現状です。

 加えてややこしいことに千年伯爵はもともと1人の存在ですが、どうやら暗黒の3日間の再来を存在理由とする「皮」≒「千年伯爵」と、人間として意思と人格を持ち合わせた「マナ」(そして「ネア」)に分かれるっぽいのです。ちなみにDグレ原画展で公開された233夜ネームには「伯爵の皮(アダム)」と記載がありました*1。なので千年伯爵を1キャラとして考えると超ややこしい。「千年伯爵(元)」と「千年伯爵(皮/アダム)」と「千年伯爵(マナ)」の3キャラくらいに分割しないといけない。なんでだよ。

 そんなわけでオタクが「コイツは知ってるんじゃね?」と推測するだけの怪文書、はっじま~~るよ~~~。

 

23.06.17追記:なんかこの記事、よくアクセスされてるっぽいので目次作ってみました。数ミリ読みやすくなってれば幸い。

 

 

35年前を知っているキャラクター

今の時点では、
・35年前の出来事は「ネア」と「マナ」、「千年伯爵」の3要素が関わっている
・ネアが千年伯爵(≒マナ)を壊そうとしている理由(恐らく「柱」が関わる)

上記どちらかを知っていれば、「元はひとつの千年伯爵」を知ってると仮定できるのではないでしょうか。多分、知らんけど。

 

 最初に35年前の事情をわりと知ってる人達をざっと挙げるとロード(35年前に生き残ったノア)、クロス(14番目関係者)、ブックマン(ブックマン一族現当主)、そしてワイズリー(智のメモリーを持つノア)。第220夜の言動からして、現在の千年伯爵は知らない≒忘れているようでした。ネアはメモリーを35年冷凍保存してた系当事者なのでバリバリに覚えています。

 

1.ロード

 まずはロード。彼女は「彼は千年公を殺そうとした」*2、「ネアはマナのために戦った」*3という一見矛盾した発言をしており、マナと千年伯爵を別個の存在と認識している可能性が高いです。またワイズリーの「ネアは何を成そうとしているか」という問いに、「ねあはぼくらとちがう だからこわい」と答えています*4。千年伯爵から2つに分かれたネアはメモリーを持つノアの一族とは違う存在、ネアの「元はひとつの千年伯爵」発言と矛盾はありません。

 ノアメモリーによって覚醒した「この世界の人間」なので柱と千年伯爵の関係も知っていますが*5、「本当はマナを助けたいと思っているんじゃないのか」とクロスに指摘されています。『この世界の人間としての感情』と『メモリーに由来する感情』の間で板挟みになる可能性については、ティキの「感情ってもんがあるからさ、「理解」したくなっちゃうんだよ」発言で明示されています*624巻第218夜ではマナをかばうように抱えてネアを睨む姿が回想シーンとして登場しますが、当時の彼女がキャンベル邸でどういう立ち位置・立場だったのかまでは不明です。

 もうどう考えても全部知っとる。おそらく彼女はマナ・ネア2人の近くにいた人間として、世界が滅んだメモリーを体験として持つノアとして、二方向から35年前の出来事を把握している人物。「彼女が抱えている秘密を全て暴露したら『Dグレ』が終わっちゃうと言っても過言ではない」は大マジのマジ*7

 

2.クロス

 続いてクロス。26巻第233・234夜で「自分が千年伯爵であることを忘れている」マナが「ネアを喰ったことも忘れて」捜していると明言しています。アレン過去編は彼視点のモノローグも多く、初手で条件全コンプリート。超分かりやすい。

 また単行本未収録の第237夜で「マナを破壊(ころ)すのはネアでなければならない」と語っていることから*8、ネアがマナ≒千年伯爵を殺す必要性を把握しています。ネアが千年伯爵を殺そうとする理由まで知っているかは不明、というか知らんかったらネア許さん(突然のモンペ)。

 17歳よりも幼い2人の姿を知っているため、35年前当時のクロスはキャンベル邸にいたと推測されます*9。当時の立ち位置は不明ですがサイラス説*10・前ブックマンJr.説は、どちらもノア側というより人間側です。おそらくクロスは「記録」として滅びた世界を知っているこの世界の人間か、それに近い存在*11。彼はロードよりも人間に寄った視点と価値観で35年前の経緯を把握しており、物語の中で彼女と差別化されていると思われます。

 なかでも235夜でノアとの対話をやめてロード・キャメロットに、「ノア(亡霊)に操られるな 戦え」と話しかけたのはかなり人間側の挙動。「ノアメモリー由来の体験と感情はロード・キャメロット本人のものではないから、切り離して自分の意思で行動すればいい」との主張は、滅びた世界の当事者に等しい相手に対してだいぶ酷な無茶振り。

 現地で経験したのと報告書を読んだのとでは感じることが全然違うように、言ってることはその通りでロードを思っての発言でもノアと人間の断絶が深刻過ぎる。彼女からすれば、「(簡単に言うけどそんなの無理だから)じゃあ殺して」になるわけだ…。弟子が弟子なら師匠も師匠、これは偽善者ポイントが高い(何て?)。弟子は武力行使で実行に出たからもっと強い、メモリーだけ破壊する(未遂)退魔ノ剣isマジで何。

 師匠は「個々の意思に従って生きる」ことが最良と思ってるのか、結果的に人の持つ力を信じてる言動になる節があるっぽい。皮肉なことに「14番目に協力したのは他でもない自分の意思」って形で、35年彷徨い続けた上に宿主アレン・ウォーカーを見捨てる選択しか取れなくなるという自分の逃げ道完全に無くしたルートを取ってるので、生きるのがド下手で微笑ましいね(地獄)。

 

 そもそもロードと師匠は「マナを連れ戻しに来たのか?」「今の状態の千年公を連れて帰っても意味が無いもん」で会話が成立する2人なので、だいたい全部知っとるんよ。(突然のぶん投げ)

 

3.ブックマン

 一番不明点が多いのがブックマン。27巻談話室のクロスによってブックマン一族はただの人間ではないと仄めかされましたが、ノアの一族に比べるとまだ分かってないことが多いです*12。先代のノアと懇意にしてたらしいし、14番目とは因縁があるし、218夜のロード達を部屋の外から見ていたし知ってる可能性は高そう。「我らが記すべき歴史≒語り継がれる人の歴史から除外された史実」にマナ・ネアがどこまで関係するのか、「戦争の裏」と「裏歴史」は違うものなのかと、まぁ全然わからん。ついでに師匠が元ブックマンJr.だった場合、じゃあ「真理」って何よ?!ブックマン知ってる??!!ってなる。もう分からん、お手上げ侍。

 

4.ワイズリー

 最初に挙げた4人の中で唯一、35年前の当事者ではないのがワイズリー。彼はノアメモリーの性質なのか、前代ジョイドとネアの因縁を知っていました*13。しかし219夜でロードに「ネアは何をしようとしているか」と質問しており、当時の細かい部分までは知らない可能性が高いです。多分、前代ワイズリーが知ってた範囲のことしか把握できていない。師匠が「マナを壊すのはネアでなければならない」と断じているのを踏まえると、ワイズリーはマナとネアの因縁の根幹までは知らないと思われます。

 

例外:千年伯爵

 そして本題、千年伯爵。彼はもとは千年伯爵という1人の存在でしたが、どうやら暗黒の3日間の再来を存在理由とする「皮/アダム」≒「千年伯爵」と、人間としての意思と人格を持ち合わせた「マナ」「ネア」の3つに分かれているようです。
 千年伯爵(カテリーナと最初に出会った黒髪長髪の青年)が滅ぼす世界の景色に心を残し使命をまっとうできなくなったのが原因か、「個としての人格≒感情/心」が発生してしまったせいで分裂したのでは?元の千年伯爵は人間というより装置だったんじゃないかなー。アレンが主人格の肉体にネアがインストールされたように、マナが主人格の肉体に「千年伯爵(皮/アダム)」が入ってる。マナが伯爵の使命を拒否し、ネアが武力蜂起したのが35年前なのでは、知らんけど。キャンベルは専門外だから適当言った、ゴメン。

 220夜で一人称が「僕」から「我が輩」に変わった千年伯爵(アダム?)は、恐らくそのタイミングで「マナ」から肉体の主導権を奪い去り顔と記憶を潰します*14。なので、今の千年伯爵(見た目がおじさん)はマナとネアのことを忘れている。マナとして赤腕の前に現れた経緯は全然分からん。

 「人として生きた17年間」を思い出すので顔と記憶を潰して、全てをマナのせいにして狂わないと自分の存在定義(役目)を確立できなかったのなら、わりと非情な言動の目立つネアに「悪役のくせに弱っちい」と言われるのも納得できます。


 こんな感じで、当人は忘れてるけど35年前を知ってる人は知ってそうって話でした。いぇ~~~いサッパリ分からん。4,400字の怪文書じゃん!解散!!

*1:233夜ネーム(教会でティムと会話するクロスの場面)横に書かれた走り書きのメモ。恐らく過去編でのクロスの立ち位置をセリフのみで説明するため。「伯爵の皮(アダム)の追跡の可能性」という文言が出てくる。

*2:16巻第158夜

*3:22巻第205夜

*4:25巻第219夜

*5:27巻第235夜のクロスのセリフより

*6:22巻第202夜「俺らは千年公に忠誠を誓ってる だからどんな命令も従うしその役目を疑ったりしない でもやっぱどうしても感情ってもんがあるからさ「理解」したくなっちゃうんだよ」

*7:『キャラグレ!』125ページ 星野桂先生が語る!ロード・キャメロット

*8:ジャンプSQ.RISE 2020SUMMER

*9:27巻第234夜 「あの頃みたいに笑えるんだな 今のお前は」アイレベル(目線の高さ)が2人とほぼ同じなのが気になる。同年代か、屈んだ大人か…?

*10:カテリーナ(2人の母様)の弟

*11:ブックマン一族と2つの世界の関係が不明なので、ちょっとボカした表現にしています

*12:こうなると、13巻第119夜ラビの「ブックマンになることを受け入れた」が気になるところ。

*13:26巻第225夜でティキに「ワタシから聞かずともジョイド おぬしはいずれ思い知るの…」と返答。

*14:多分81〜83Pの「ぼく」は鏡の前の千年伯爵、89,92Pの「ぼく」は鏡内のマナ